本業は編集者、ディレクター。でも、実はシブヤ大学恵比寿キャンパス校長や、恵比寿のアートイベント発起人など、いろいろしてます。そんな小倉若葉(おぐらなおよ)の日常を綴っています。子育ても満喫中。
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岡本敏子さん追悼の記
今朝、岡本太郎記念館館長の岡本敏子さんが逝去されました。

昨年末、某誌の8ページに及ぶ巻頭インタビューの取材で初めてお会いして、その人柄にすっかり魅せられてしまった私は、以来、何かにとり憑かれたように敏子さんの著作を片っ端から読破。

次にお会いする機会があったら、この間聞けなかったことをあれこれ聞こうと思っていたのに。
またお顔を見に、岡本太郎記念館に行こうと思っていたのに。


「太郎さんが亡くなって、淋しくありませんか」
50年間、秘書として養女として岡本太郎氏に寄り添い、公私ともに支え続けた敏子さんに、ありきたりな質問とわかっていながら、聞かずにはいられませんでした。

愛する人を失う哀しみは、私には計り知れないものだから。
でも、生きている限り、必ず直面することだから。
そして、目の前にいるすでに直面した人が、あまりに朗らかな笑顔を浮かべていたから。

何遍もくり返し浴びたであろうこの問いに、彼女は嫌な顔をするどころか、にっこり笑ってこう答えました。

「淋しいなんて思ったことないわ。だって太郎さんはここにいるんですもの。あなたも太郎さんを感じない?」

記念館に足を踏み入れた途端、何かざわざわと心が騒ぐのを感じていた私は、その瞬間、思わず鳥肌が立ってしまいました。
本当に太郎氏の息遣いを感じたような気がしたからです。

それは怖いとかそういう類のものではなく、むしろ「死」に対しての新しい発見であり、喜びに近い感覚のものでした。

インタビューの2週間後、私を可愛がってくれた祖父が亡くなりました。
そのとき、哀しみに打ちのめされることなく、穏やかな気持ちで旅立ちを見送ることができたのは、敏子さんとの出逢いが大きかったように思います。

「たとえ肉体はそばにいなくても、存在は消えない。本当よ」



夕べ遅く、別のインタビュー原稿を書いているとき、ちょっと行き詰まって、何気なく自分が書いた敏子さんのインタビューページを開きました。
もしかしたら、何かが私にそうさせたのかもしれません。

毎回同じカメラマンに撮影をお願いしているそのインタビュー写真は、一連のシリーズのなかでも特に私のお気に入りです。

太陽をモチーフにした太郎氏の作品をバックに、両手をいっぱいに広げ、満面に笑みを浮かべる彼女の姿は、まるで後光が射しているお釈迦様のようにも見えます。

<老いるとは、衰えることではない。年とともにますますひらき、ひらききったところでドウと倒れるのが死なんだ。>

そう言ったのは、岡本太郎氏です。
その言葉のとおり、岡本敏子さんはひらききるまで今を生き抜いたのでしょう。

お見事でした。
心からご冥福をお祈り申し上げます。




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by hanaoui | 2005-04-20 21:40 | diary
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